第1210話 家族間での使用貸借
物の貸し借りを法律的にみると、対価を伴う「賃貸借」と無償での「使用貸借」の2種類に分けられます。土地でいうと、地代を支払って借地権を得て利用するのが賃貸借で、親が持つ土地を無償で借りて、その土地の上に家を建てるケースなどが使用貸借に該当します。
賃貸借では地主と借主の間に権利金や地代、立退料など様々な金銭のやり取りが発生しますが、子と親の使用貸借には金銭の授受が通常発生しないのが普通です。
杓子定規に考えれば、賃貸借であれば契約時に支払うべき権利金を使用貸借では支払っていないわけで、子はその分だけ経済的利益を得ているとも考えられます。言い換えれば、借地権という財産を親から子に贈与されたと見られても仕方ありません。しかし親族間の使用貸借に贈与税は課されることはありません。使用貸借による契約は、賃貸借における借地権のような強い権利を借り手に与えていないため、贈与があったとはみなされないというのが理由です。
権利金や地代を払わないにもかかわらず贈与税が課されないのは、反対に言えば、あくまで使用貸借であるからともいえます。
ここが変なところで、「たとえ親であっても土地を使わせてもらっているんだから、せめて地代くらいは払おう」と親に地代を払ってしまうと、貸し借りそのものが対価を伴う賃貸借とみられてしまい、贈与税が課されるという理解し難い状況となります。
法を知らないと墓穴を掘る一因の一つです。怖い世の中です。
義理を通したはずが、いらぬ税負担を増やすだけになってしまうことになります。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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